
富山地方鉄道が、本線の滑川駅〜新魚津駅間、および立山線の岩峅寺〜立山駅間の2区間について、自治体からの支援が得られなければ廃止に向けた準備を進めるという方針を示しました。
とりわけ立山線(岩峅寺〜立山間)は、立山黒部アルペンルートの一部を構成する重要なアクセス区間です。立山駅から先は、立山ケーブルカーや高原バスを経て室堂、さらには黒部ダム方面へとつながる観光ルートの起点でもあります。そんな“観光の足”となっている路線が、将来消えてしまうかもしれない——その可能性を思うと、胸がざわつきます。

富山地鉄の“元西武レッドアロー5000系”との再会
2024年5月、北陸を訪れた際、短い時間ながら富山地方鉄道に立ち寄る機会がありました。目的は、西武鉄道から譲渡された初代レッドアロー5000系やニューレッドアロー10000系と出会い、できれば乗車すること。
けれど、どの列車にどの車両が充当されるのか情報がなく、結局、乗車は叶いませんでした。
もし1日じっくり富山地鉄に時間を取れていれば、どちらかの“レッドアロー”に乗れていたかもしれません。しかしその日は新潟に向かう予定があり、長居はできませんでした。
それでも、せめて「称名滝」と“幻の滝”とも呼ばれる「ハンノキ滝」だけは見ておきたく、車で立山へ向かうことに。

その道中、偶然にも岩峅寺駅でニューレッドアロー10000系、立山駅では5000系と出会うことができました。
特に、立山駅に停車していた5000系を目にしたときは、心が躍りました。
けれどその車両は、ほどなく留置線へと引き込まれてしまいます。「今すぐ折り返すなら、予定を変更してでも乗るのに……」
そんな葛藤を胸に、私は富山地方鉄道に“乗れなかった人”として、その日の旅を終えました。

“動く鉄道博物館”が抱える課題
富山地方鉄道には、元京阪、元東急など、全国各地から譲渡された車両が走っており、いわば“動く鉄道博物館”のような存在です。
けれどその魅力も、「いつ、どの車両が走るのか分からない」ままでは、私のような鉄道ファンが乗車の機会を逃してしまうこともあります。
だからこそ思うのです。
車両の運用予定や充当情報を、もう少し公開してもらえたら――。
“出会えたのに乗れなかった”人が減り、写真だけではなく、運賃や乗車券というかたちで富山地方鉄道にお金を落とす人がもっと増えるのではないでしょうか。

廃止の検討は、最後通告なのか
今回の富山地鉄の発言は、こうも聞こえます。
「支援がなければ、アルペンルートもキャニオンルートも、主要都市から分断されてしまっても構わないのか?」
まるで、富山県や沿線自治体に対する最後通告のようにも映ります。
仮に本線の滑川〜新魚津間までが廃止されれば、宇奈月温泉は“孤立した終着駅”になってしまいます。確かに黒部峡谷鉄道と新たな「キャニオンルート」の整備は進んでいますが、立山側と宇奈月側が分断されれば、その観光価値は大きく減退するでしょう。
加えて、立山黒部アルペンルートの山岳ホテル「ホテル立山」も、2026年8月で宿泊業を終了すると報道されています。
星野リゾートが引き継ぐという噂もありますが、宿泊料金の高騰や“富裕層向け化”が進む中で、地元の公共交通が失われてしまっては、本末転倒です。
この線路が、これからも人の思いとともに走り続けてくれることを、心から願っています。
富山県が、そして関係者が、富山地鉄の“線路を守る”選択をしてくれることを。
そしていつか、あの旧レッドアローに乗って、立山の空気を、今度こそじっくり味わいたいと思ってます。
