
2023年にすかいらーくグループ傘下となり、2024年12月に関東1号店(八千代店)を開業した資さんうどん。
関東展開が本格化する中、私はあえて名物の肉ごぼ天うどんではなく、“うどんを頼まない”という選択をした。
理由は、メニューに「貝汁」を見つけてしまったからだ。
貝汁と言えば、山口県山陽小野田市、国道190号沿いにある創業50年以上の老舗「ドライブインみちしお」で食べた貝汁の記憶がよみがえる。
あの一杯を思い出し、気づけば「貝汁ライス」を注文していた。

資さんうどんは北九州発祥。
関門海峡を挟んだ北九州と山口西部は、昔から人の往来が多い一体の文化圏でもある。
このあたりでは、あさりたっぷりの味噌汁。いわゆる「貝汁」が、ごく自然に成立している。
二日酔いの朝や、長距離移動の途中に、身体を整える一杯として語られることも多い。私にとっては、まさに「ドライブインみちしお」の貝汁がその代表格だった。
そんな記憶があるからこそ、資さんのメニューで「貝汁」の文字を見つけた瞬間、気になってしまった。
注文したのは、貝汁大盛+中ライスの「貝汁ライス」(税込580円)である。

器を覗くと、まず貝の量に目がいく。
出汁を取るための具ではなく、貝が主役。食べても食べても減らない感覚がある。
一口すすれば、白味噌仕立ての汁がやわらかく広がり、その奥からあさりの旨味が押し寄せる。
味噌は前に出すぎず、それでいてご飯を確実に受け止める。“ライス前提”の設計がはっきりしている。

反面、「ドライブインみちしお」の貝汁は、もっと透明感のある出汁が主役で、貝のエキスをダイレクトに味わう一杯だった記憶がある。
それに対して「資さんうどん」の貝汁は、味噌の存在感がもう少し強く、日常の「汁物」としての輪郭がはっきりしている。似ているようで、立ち位置は少し違う。
「資さんうどん」の貝汁は創業以来提供されている通年メニューのひとつで、現在は基本的に全国の店舗で扱われている。
だが私にとっては、単なるサイドメニューではなく、北九州と山口の間にある“貝汁の記憶”を連れてくる一杯だった。
うどんを頼まなくても、満足できる。
資さんうどんの懐の深さは、こういうところにあるのかもしれない。

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